埋立地に雨が降ると、その雨はごみ層に浸み込みます。この浸み込んだ浸出水は、地下水を汚染する成分を含んでいる恐れがあります。したがって、この浸出水をむやみに浸透させるわけにはいきません。
このため、廃棄物と埋立地外部を隔離するために設置されるのが遮水工です。
遮水工には、大きく分けて表面遮水工と鉛直遮水工の2種類があります。
遮水構造には、基準省令によって3タイプが規定されています。
表面遮水工の材料としては、遮水シート、遮水シートを保護する保護マットがあります。また、それぞれにはいろいろな材質があり、使用する場所に適した材料を使い分けられています。参考までに、遮水シートと保護マットの分類を紹介します。
低弾性タイプ | : | 加硫ゴム、塩化ビニル等 |
中弾性タイプ | : | オレフィン系熱可塑性ゴム(PE系、PP系)、熱可塑性ポリウレタン、低密度ポリエチレン等 |
高弾性タイプ | : | 高密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン等 |
アスファルトタイプ | : | シート、吹き付け |
保護マットは、遮水工の保護や二重遮水シ-ト間の中間保護材として一般的に 用いられています。 |
○長繊維不織布 |
○短繊維不織布 |
○反毛フェルト |
○ジオコンポジット(複合素材製品) |
保護マットは、遮水シートを保護する重要な役割を持っています。下図のように、使用用途と場所によって、使い分けられます。
1)外力によって傷つくのを防ぐ保護機能 | : | 一般保護マット |
: | 二重遮水シ-ト中間保護マット | |
2)直射日光による劣化防止機能 | : | 遮光性保護マット、遮光性マット |
遮水シ-トの損傷が高いのは、遮水シートの施工時で、埋立てごみが十分な厚さにいたっていない時期です。このような段階では、保護マットの敷設、丁寧な埋立作業、埋立作業前の点検・補修によって、遮水シ-トが損傷しても直ちに修復できるようにしています。また、埋立作業等で遮水シ-トに損傷が生じた場合は、速やかに損傷位置を把握できる監視システムも多くの最終処分場で設置されています。
遮水シ-トの損傷検知方法としては、電気的検知方法と圧力検知方法があります。
電気的検知方法は、遮水シ-トの電気を通さない特性(絶縁性)を生かして遮水シ-ト上下の通電・遮断状態を検査し、遮水シ-トに生じた絶縁不良個所の電位や電流の変化から遮水シ-トの破損の有無とその位置を検知する方法です。
圧力検知方法は、二重の遮水シ-トで食品の真空パックのような気密性を持った袋構造ブロック(袋構造の区画)を作り、このブロックごとに専用の管理ホ-スを取り付け、管理ホ-スから二重シ-ト内部を減圧した時に生じる圧力変化や遮水シ-ト破損時の二重シ-ト内部の充填材流失に伴う水位の変化から遮水シ-トの破損の有無とその破損位置を特定できる方法です。
NPO-LSCS研公式ホームページ Copyright(c)2009 NPO-LSCSA all rights reserved.