− 第4期スタートにあたり−
 【理事長】 花嶋正孝(福岡大学)
 平成5年6月フランスのモンペリエで開かれたジオコンファインの国際会議に参加し、そこで古市先生と最終処分場問題について話合う機会を得た。今この施設の建設に当たっては、建設コントラクターを頂点とし、シートメーカーを底辺とするおぞましいヒエアルキーが存在するという事を問題視し、技術に上下はなく横並びであり、それぞれの技術者が最終処分場を建設するに当たり、当然対等に話し合うべきであるとの結論に達した。
 そこで、この現状を打破するためには建設コントラクター、建設コンサルタント、シートメーカー、水処理メーカーの4業種の関係者を一同に集めて、住民に受け入れられる施設を作るには、どのようにすれば良いのかを話し合う場を作ろうではないかと持ちかけた。そこでそれぞれの業界に呼びかけたところ、立ち所に100社近い企業が集まり、LS研を発足する事ができた。
これがLS研の原点であることを第4期のスタートにあたり、改めて初心を思い起こしてほしい。

 【副理事長・システム統合部会長】 古市 徹(北海道大学)
 LS研がNPO法人化され早2年、通算で丸9年が過ぎ、第4期の活動がスタートしました。NPO・LS研究協会の活動も定常化し、この分野での高い社会的評価も定まって参りましたが、これも偏に花嶋理事長をはじめ会員各位の情熱とご努力による賜と考えます。
 NPOLS研の設立趣旨「地域に受け入れられる最終処分場を目指して、各要素技術を有機的に組み合わせることにより、ハードとソフトのトータルシステム化を図る。」を実現するために、5つの研究グループに分かれ活動しています。つまり、「処分場の歴史」で要素技術の変遷を踏まえた上で、循環型社会に向けたエコ処分場のあり方を地域融和(住民合意等)の視点から「システム計画」し、安全で安心できる処分場を「設計・施工」し、環境保全に配慮して安定化・廃止促進を容易にする「管理」システムを開発することにより、最終処分の基盤整備を図る「事業化手法」を検討していくという一連のプロセスを、研究・開発しているといえます。
 今、イタリア・サルジニアの国際埋立シンポジウムに参加し、この原稿を書いています。思い返せば、ちょうど10年前にフランスで開催された別の埋立の国際シンポに参加した折り、花嶋先生と2人でLS研の立ち上げ構想を、昼食を取りながら2,3時間議論したことが懐かしく思い出されます。正に、十年一日の如しです。


− 第4期目の抱負−
 【評価検討会】 委員長:浦 満彦
 NPO・LS研究協会は、NPO活動の一環として民間企業・団体等から研究受託を行います。研究受託の目的は、研究協会の活動を通じて社会に貢献することにあります。
 評価検討会は、依頼を受けた研究受託テーマが研究協会の活動として相応しいかの判断、そして受託した研究成果の品質を確保する役割を担います。すでに2件の受託の実績を有しており、協会会員メンバーの高い技術力、豊富な経験を反映させた成果は高い評価を得ています。今後も、最終処分に関し、社会の期待に応えられる受託研究とするために、評価検討会メンバーは努力をしていきたいと考えています。

 【将来ビジョン検討委員会】 委員長:瀬尾 潔
 任意団体時代からのLS研の活動により、計画・設計、施工場面での格段の進展が見られ、その成果の一部が「最終処分場の整備の計画・設計要領」として結実した。次ぎのステップとして、運営段階での最終処分場の健全な機能保全が求められ、「処分場機能検査体制検討委員会」にてそのあり方が検討されている。NPO・LSの会員の活動の巾が広がるとともに、こうした活動の定着が、より信頼される処分場となりうる期待がある。
 地域に信頼される処分場づくりの活動が、そのままNPO・LS研に参加している会員の希望、参加して良かったと思える活動につながっていくことがベストである。そうした意味において将来ビジョン検討委員会の存在意義が問われている。縁があって、初代に続き、3代目の将来ビジョン検討委員会委員長を預かることになった。より良い処分場=より良いNPO・LS研になるよう皆さんの協力を御願いします。

 【処分場機能検査体制検討委員会】 委員長:上田 滋夫
 処分場機能検査体制検討委員会処分場の安全は、計画、設計、施工、維持管理、閉鎖、廃止の全てに安全が確保されていなければならない。このような観点から考えると施工時の竣工検査以降は、更に検討の余地があるものと考えられる。即ち経年的な機能検査の重要性を検討していかなければならない。本検討委員会は、これらの重要性を背景に本年度設置された委員会で、その期待に応えていかなければならない。具体的な行動計画は、既に査定し行動に入っているが、検査の項目、方法基準等、今までの研究成果等を参考に立案していく予定である。各位の御意見を伺う事があるかと思いますがよろしくお願いしたい。

 【総務委員会】 委員長:土居 洋一
 総務委員会は、NPO・LS研に参加する皆様が円滑な活動が行えるように、縁の下の力持ちとして事務局をサポートし活動を行っております。各種運営規程の制定や要領の作成、活発な研究活動の推進を考えた研究費の配分、各委員会のNPO活動を促進するためのサポート等を行っております。
 今後も皆様の活動を各方面よりサポートして参りますので、よろしくお願いいたします。

 【企画委員会】 委員長:大堀 卓
 企画委員会はNPO・LS研究協会の活動を円滑に行うことを目的に、廃棄物最終処分場技術システムに関する普及啓発事業として主にシンポジウムの開催などを企画実施しています。
具体的には、
  @研究発表会や技術討論会のテーマ選定と運営、
  A技術指導要請への講師派遣や資料提供、
などを通して最終処分場に関する正しい理解と最新技術情報の提供を積極的に進め、会員の皆様や最終処分場の建設や維持管理に携わる方々に広く研究成果を展開して行きたいと考えています。
 【広報委員会】 委員長:上田 滋夫
 NPO・LS研は組織を新たに4期目に入った。広報委員会としては、研究成果出来事等をニュースレター、パンフレット、新聞、雑誌、ホームページ等によって各方面に発信してきた。特にホームページは広報委員会の手作りにも係わらずそのアクセスは、日増しに増加している。これらは、NPO・LS研が益々期待されている証ではないかと考られ、喜びにたえない。この結果を元に今後はホームページのバージョンアップを中心に、研究成果、出来事をタイミングよく各方面に発信していきたいと考えている。近日中にアクセスへきり番を設定し景品贈呈を企画しています。期待してください。

 【特許委員会】 委員長:笹井 裕
 特許委員会は、第3期の最終年度平成14年度から、NPO化に伴う組織変更によって新たに設けられた委員会であるが、初年度は活動方針が決まらず活動記録も残せていない。自分も副委員長の立場にあり、その責任を感じている。

 今年度は委員長として新たにその責任を回復する機会を与えられたものと考え、NPO LS研の特許委員会としてどのような活動を行えばよいのか試行錯誤してみたいと思う。
 突発的ではあるが、特許委員会として活動する問題が与えられたので、これを足がかりにして、最終処分場の特許にかかわる問題について、公益の保護、公益の促進のために特許委員会がどのような活動ができるか考えてみたいと思っている。

 【国際委員会】 委員長:志々目正高
 国際委員会は最終処分場技術システムに関する国際交流を目指し,
  @日本の最終処分技術等の海外へのPR
  A海外の最終処分技術情報の収集
  B海外シンポジウム等への参加
等を通して日本の最終処分技術のPRを行うことを目指しております。2002年9月は韓国で開催された国際シンポジウムAPLAS2002ソウルに公式後援団体として参加し,2003年10月には国際埋立シンポジウムSARDINIA2003に調査団を派遣し,ワークショップを開催いたしました。また,2004年度は国際シンポジウムAPLAS2004北九州に主催者として参加いたします。これらの活動を通して最終処分問題に国際貢献し,日本の処分場技術の向上に寄与して行きたいと考えております。

 【編集委員会】

 【システム計画研究グループ】 リーダー:福本 二也
 システム計画研究グループはこれまで3期9年間の活動の中で、「最終処分場の在るべき姿」を「地域に受け入れられる最終処分場」の観点から、処分場計画論、リスク管理、情報管理、地域還元等の視点で研究を行い一定の研究成果を収めてきました。しかし尚、最終処分場の建設促進がはかどらない厳しい現実があります。当グループでは、最終処分場の諸問題の多くが住民との接点部分にあるとの認識の下で、
  @環境リスク評価分科会(中石一弘主査)、
  Aインターフェイス分科会(高橋富男主査)、
  B不法投棄対策研究分科会(土居洋一主査)
の3分科会で研究を行います。問題解決に向けて有効な方策が打ち出せるよう研究を推進したいと考えています。

 【設計施工研究グループ】 リーダー:小谷 克己
 年長者ということで、リーダーの大役を仰せつかりました。これまで、設計と施工は別々の研究グループでしたが、今期から一緒に研究することになりました。細部の研究はやめ、設計者と施工者が協力して社会に役立つ良い処分場をつくるためと、理解しています。
 我々のグループでは、次のような方針で研究を進めることを確認しました。
  @原点にかえって、処分場の安全性、環境の保全性、準好気性埋立て、遮水工について研究する。
  A現状技術、技術的トラブルの実態を調べ、研究を通して技術力を養う。
  B研究成果を積極的に発表し、よく勉強した者が報われる社会になるよう努力する。
 現在、54名が4分科会に分かれて、真剣に研究を続けています。

 【管理研究グループ】 リーダー:堀井 安雄
 最終処分場の残余容量が少なくなる中で、新規計画の最終処分場が地域に受け入れられず、また、既設最終処分場の廃止もし難い状況にある。その背景には、水環境の安全性に対する不安と埋立地の安定化に長期間を要して、廃止がなかなかできない問題がある。このような課題を解決するためには、自然と共生した信頼できる最終処分場の適正管理のあり方を、次の視点から検討するために3分科会を構成して研究活動を推進しています。
  @水環境の安全性を向上させるための研究
  A最終処分場の安定化・廃止促進のあり方の研究
  Bエコ処分場を実現するための研究 

 【事業化手法研究グループ】 リーダー:西川 光善
 事業化手法研究グループは、一般廃棄物最終処分場の建設・維持管理を含めた事業化手法のあり方を研究する目的で集まりました。研究メンバーは10名です。研究は3年の期間を予定し、作業として1年目は現状把握、問題点の洗い出し、2年目はPFI導入の可能性について検討、3年目はNPO/LS研のありかた、役割、提言を取りまとめる予定です。PFI導入という名目の下で、本来自治体が負うべき作業をSPCにすべて丸投げしてしまうようなリスク分担とならないような検討や、SPCが事業主体であるために産業廃棄物処理事業者として位置付けることの是非等事業化に際して想定される課題は多いと思われます。また、NPO/LS研の事業化のあり方も併せて検討する予定です。

 【処分場の歴史研究グループ】 リーダー:瀬尾 潔
 我が国の最終処分場技術の歴史は浅いものの現在の技術に到達するまでに試行錯誤をしてきました。最終処分場技術は、気象、地形・地質などの自然条件や前段のごみ処理システムと係わりを持っており、諸外国と比較しても独特の技術・システムとして育ってきました。その一例としてシート中心の遮水構造があげられます。また、準好気性処分場構造の開発の経緯等、最終処分場技術の変遷とその背景をとりまとめることは、今後のわが国の最終処分場技術を考える上で重要です。
メンバー8名、歴史という古きを訪ねつつ、新しい発見を楽しみに活動しています。



【お問い合わせ先】
特定非営利法人 最終処分場技術システム研究協会(NPO・LS研)
広報委員会 委員長  上田滋夫
〒108-0074 東京都港区高輪3-23-14

 
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